近年、パスワードでのみ認証の代わりに、多要素を使った認証プロセスを利用するシステムはどんどん多くなります。多要素認証は、セキュリティレベルを高めるテクニックとしてかなり普及されています。それでは、多要素認証とはなんですか?本文では、多要素認証及びその仕組みを完全に解説していきます。
多要素認証(MFA)とは
多要素認証(Multi-Factor Authentication)とは、ユーザー認証の際に複数の異なる認証要素を用いる方法です。パスワードのリスクへの対処が必要となったので、多要素認証が最近注目を集めています。パスワードだけの認証では、漏洩や推測、リスト攻撃などの被害が後を絶たないため、より高いセキュリティを実現できる多要素認証が有効な手段として求められるようになったわけになります。
加えて、SNSやオンラインサービスの普及により、セキュリティ事故も増加している。サービス提供側はセキュリティ対策を強化せざるを得なくなり、多要素認証に注目が集まりました。さらに、スマートフォンの発展によって、多要素認証を技術的にも容易に実現できるようになりました。このように認証手法の進歩とセキュリティ環境の変化が、多要素認証がますます流行になる原因になるのでしょう。
多要素認証の仕組み
それでは、多要素認証は、どのようにセキュリティを強化していますか?この部分では、多要素認証の仕組みをみなさんに紹介します。多要素認証の仕組みは以下のようになっています。
- ユーザーはサービスにログインを試みる
- サービスは最初にパスワード(知識要素)の入力を求める
- パスワード認証に加え、2番目の要素の確認を求める (例:スマホに送信したOTPを入力するよう通知する)
- ユーザーはパスワードと2番目のOTPを入力して認証を完了する
- サービスは2つの要素を検証し、本人確認に成功すればサービスへのアクセスを許可する
- 次回からも同様にパスワードと2要素目(OTPなど)の入力を求められる
このように、パスワードに加え、所持要素(トークン)や生体要素(指紋)を求めることで、複数の異なる種類の証明を必要とするのが多要素認証の仕組みです。
多要素認証の要素に何がある?
多要素認証はいわゆる異なるカテゴリの要素を組み合わせて、認証のセキュリティレベルを高める技術になります。それでは、多要素認証の「多要素」には、常にどのような要素があります。
今まで、多要素認証で使われる主な要素とその特徴は以下の通りです。
知識要素
パスワードやPINコードなど、ユーザーが知っている情報を使います。認証に必要な秘密の情報を記憶する必要があります。
所持要素
ハードウェアトークンやスマートフォン、ソフトウェアトークンなど、ユーザーが所持する物を使います。認証のたびに所持物が必要となります。
生体要素
指紋、顔、声紋、網膜などのユーザーの生体情報を使います。生体認証機能を認証に組み込むことで実現できます。
このように多要素認証ではこれら異なるカテゴリの要素を組み合わせて利用します。現在はパスワードとスマートフォンのOTPが一般的ですが、指紋認証を加えるなど、多様な選択肢があるのが特徴です。新しい生体認証も登場しており、更なる発展が期待されています。
ロケーション要素
また、上記の3つの要素のほかに、ロケーション要素も最近注目されています。ロケーション要素とは、ユーザーの位置情報を利用する認証方法です。具体的には以下のような認証が考えられます。
- GPSで測位した現在位置が、通常ログインする場所と一致するかを確認する
- WiFiアクセスポイントやブルートゥースビーコンを使い、ユーザーがいつもの場所にいるかを確認する
- 地理的位置が大きく変わった場合は追加の認証を求める
このように位置情報を要素として追加することで、不審なログイン試行を検知できる可能性があります。一方で、位置情報の収集・利用にはプライバシーの問題もあるため、実装にあたっては配慮が必要となります。ロケーション要素の活用法が今後の課題になるかとも言えます。
違い:2要素認証と多要素認証
そこで、従来から使ってきた2要素認証に比べて、多要素認証はどこか違っていますか?両者の違いは、主に要素数、要素の種類などの観点から分析することができると思います。
- 使用する要素の数
- 2要素認証はパスワードと1つの追加要素
- 多要素認証は2つ以上の要素を組み合わせる
- 要素の種類
- 2要素認証は知識と所持または生体要素の組み合わせが一般的
- 多要素認証は3種類の要素からフレキシブルに選択可
- セキュリティレベル
- 多要素認証のほうが高いレベルのセキュリティを実現可能
- 2要素認証もパスワードよりは強固
- 導入のしやすさ
- 2要素認証のほうが手軽に導入できる
- 多要素認証はシステム変更の影響が大きくなる
多要素認証は複数の要素設定によりセキュリティは高いが、2要素認証よりも導入が難しくなる傾向にあると言えます。
多要素認証の重要性
多要素認証(Multi-Factor Authentication、MFA)は、オンラインセキュリティを向上させるために非常に重要なセキュリティ対策です。以下は、多要素認証がなぜ重要であるかの主な理由です:
- パスワードの弱点を補完する:パスワードは単一の要素でしかなく、漏洩やクラッキングのリスクが高いです。多要素認証は、何かを知っている(パスワード)だけでなく、何かを持っている(携帯電話、セキュリティトークン)など、追加の要素を必要とするため、パスワードの弱点を補完します。
- 不正アクセスを防止:多要素認証は、不正アクセスやアカウントの乗っ取りを効果的に防ぎます。ハッカーがパスワードを盗んだとしても、他の要素が必要な場合には依然としてアカウントにアクセスできないため、セキュリティが向上します。
- セキュリティのレベルを向上:多要素認証はセキュリティのレベルを大幅に向上させます。単一の要素認証よりも、アカウントへのアクセスを破るのがはるかに難しくなります。これにより、個人や組織のデータを保護するのに役立ちます。
- フィッシング攻撃への対策:多要素認証は、フィッシング攻撃に対する防御策としても役立ちます。ユーザーは通常、フィッシングサイトに誘導されても、追加の要素(例:ワンタイムパスワード)が必要であるため、不正なサイトにアクセスすることが難しくなります。
- コンプライアンス要件の遵守:多要素認証は、多くの規制やコンプライアンス要件(例:GDPR、HIPAA)に必須のセキュリティ対策として要求されています。多要素認証を実施することで、法的要件を遵守し、罰金や法的な問題を回避できます。
上記のように、多要素認証はオンラインセキュリティの最前線で、アカウントやデータの保護を強化し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑える重要な手段です。個人や組織がセキュリティを強化し、オンライン環境での安全性を確保するために、多要素認証を積極的に採用すべきです。
パスワードのセキュリティ対策:NordPass
パスワードマネージャーはパスワードに関連するさまざまなセキュリティ上の課題に対処し、セキュリティを強化し、多要素認証(MFA)と組み合わせてオンラインアカウントのセキュリティを向上させる重要なツールです。パスワードの適切な管理は、個人や組織のセキュリティ戦略の一環として不可欠です。NordPassは世界で知名度が高いパスワードマネージャーとして、最高なパスワード管理ソリューションを提供しています。
- 強力なパスワードの生成と保存: NordPassは、ランダムで強力なパスワードを生成し、それらを安全に保存できるツールです。強力なパスワードは、ハッカーによる簡単な推測やクラックを防ぎ、アカウントのセキュリティを向上させます。
- パスワードの一元管理: NordPassは、複数のオンラインアカウントのパスワードを一元管理できるため、ユーザーは記憶する必要がなくなります。これにより、同じパスワードを複数のアカウントで再利用するリスクが軽減されます。パスワードを再利用しないことはセキュリティの向上に寄与します。
- MFAコードの安全な保管: 多要素認証(MFA)では、一時的な認証コード(例:OTPコード)を使用することがあります。パスワードマネージャーは、これらのコードを安全に保管し、必要なときに提供することができます。これにより、MFAのセキュリティも向上します。
- セキュアな共有: NordPassは、他の信頼できるユーザーとパスワードを共有する際にも役立ちます。共有されたパスワードは安全に暗号化され、アクセス制御を提供することで、情報の漏洩リスクを最小限に抑えます。
- フィッシング対策: NordPassは、フィッシング攻撃からの保護にも役立ちます。フィッシングサイトに誘導されても、正規のウェブサイトのURLと一致しない場合、パスワードマネージャーはユーザーに警告を表示し、偽のサイトにパスワードを提供しないよう促します。